介護ロボットを導入するなら補助金を利用しよう

まだまだ普及が進まない介護ロボット

介護ロボットは認知度が上がってきたものの、普及はまだまだ進んでいません。

令和3年度に公益財団法人介護労働安定センターが発表している「事業所における介護労働実態調査結果報告書」によると、介護ロボットを導入していないと答えたのが介護保険サービス事業所では全体の80.9%が導入していないとあります。

ただし、実際に介護ロボットを利用することの多い、施設系(入所型)で見ると、その数値は65.4%で、
「見守り・コミュニケーション(施設型)」が16.6%と最も高い割合で、他の区分と比べても普及率は高くなっています。(図1)

介護ロボットが普及しない理由として、「導入コストが高い」という意見は63.5%と6割以上を占め、
コスト面がネックになっている施設がほとんどとなっております。(図2)

介護ロボットの導入率
  

いずれも導入していない65.4%
見守り・コミュニケーション(施設型)13.9%
介護業務支援5.8%
移譲介助(装着型)5.5%
入浴支援4.5%
移譲介助(非接触型)4.3%
移動支援1.9%
排泄支援1.9%
その他1.1%
令和3年度事業所における介護労働実態調査結果報告書
(公益財団法人介護労働安定センター益財団法人
介護労働安定センター出展)
施設系(入所型)のみ抜粋

介護ロボットの導入や理由についての課題・問題
(複数回答可)

導入コストが高い65.4%
技術的に使えるか心配42.6%
誤作動の不安がある35.7%
設置や保管等に場所がとられる34.5%
清掃や消耗品などの維持管理が大変34.2%
投資に見合うだけの効果がない30.9%
ケアに介護ロボットを活用することに
違和感を覚える
25.5%
どんな介護ロボットがあるかわからない25.0%
その他1.7%
令和3年度事業所における介護労働実態調査結果報告書
(公益財団法人介護労働安定センター益財団法人
介護労働安定センター出展)
施設系(入所型)のみ抜粋

とはいえ、2020年度末には介護する人材は、約216万人、2025年度末には約245万人が必要であり、2020年度末までに約26万人、2025年度末までに約55万人が不足し、年間6万人程度の介護人材を確保する必要があると言われています。

この問題に対し、国(厚生労働省)は介護ロボットの導入を促すことで、解決を図っています。
令和5年度までは、「介護ロボット導入支援事業」として、介護保険事業所が介護ロボットを導入する際には、補助金を利用できる制度がありました。この制度により介護ロボットの導入コストを減らすことができるようになったのです。

そして令和6年度からは「介護テクノロジー導入支援事業(仮称)」として、同様の補助金の制度が始まる見通しとなっています。

今回はこの「介護テクノロジー導入支援補助金(仮称)」について解説していきます。

事業の概要

※介護テクノロジー導入支援事業(仮称)は、令和6年3月5日現在、まだ案の段階であり、確定事項ではないことにご注意ください

介護ロボット導入支援事業×ICT導入支援事業=介護テクノロジー導入支援事業(仮称)

介護テクノロジー導入支援補助金(仮称)は、簡単に説明すると、令和5年度まであった「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」が組み合わさった事業です。

介護ロボットや介護記録ソフトやタブレット端末、スマートフォンやインカムなどを導入する際に利用できる補助金となります。

補助対象が介護ロボット、ICT、介護現場の生産性向上に係る環境づくり(=通信環境構築)に分かれており、それぞれ補助額や補助割合が変わってきます。

実施主体は国と都道府県

国と都道府県が共同で行う事業となっています。

国が事業について大枠を決め、その決めた範囲内で、都道府県が募集をする仕組みになっています。

厚労省ホームページより引用
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/24syokan/

つまり、都道府県によっては補助額や補助率、そして補助台数などが変わってきます。

例えば、福岡県の場合、昨年度の介護ロボット導入支援事業では、

主体補助率補助台数
3/4必要台数
福岡県3/4定員数の2割

上記のようになっており、福岡県の場合は補助台数が2割となっているのが分かります。

このように、都道府県によって募集内容や募集時期も変わってきますので、各都道府県の募集要項を確認することが大事です。

介護保険事業所が対象

実はすべての介護事業所が対象ではありません。いわゆる介護保険事業所=事業所番号をもつ施設でないと対象になりません。具体的な例を出すとすれば、

〇対象になる施設例

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護付き有料老人ホーム、グループホーム等

×対象外の施設例

住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅等

です。意外と間違えやすいので注意しましょう。

補助対象・補助要件

下記すべての要件において、介護ロボットのパッケージ導入モデル、ガイドライン等を参考に、課題を抽出し、生産性向上に資する取組の計画を提出することが必須となっています。

介護ロボット

移乗支援、移動支援、排泄支援、見守り、入浴支援など、厚生労働省・経済産業省で定める「ロボット技術の介護利用における重点分野」に該当する介護ロボットが対象です。

区分補助額補助率補助台数
移譲支援・入浴支援上限100万円3/4※1必要台数※2
上記以外上限30万円3/4※1必要台数※2
※1一定の要件を満たす場合は3/4、それ以外は1/2
※2都道府県によって変動あり
ICT

介護ソフト、タブレット端末、スマートフォン、インカム、クラウドサービス、他事業者からの照会経費等
やWi-Fi機器の購入設置、業務効率化に資するバックオフィスソフト(勤怠管理、シフト管理等)が対象です。

補助額補助率補助台数
1~10人 100万円
11~20人 160万円
21~30人 200万円
31人~ 260万円
3/4※必要台数
※一定の要件を満たす場合は3/4、それ以外は1/2
介護現場の生産性向上に係る環境づくり

介護ロボット・ICT等の導入やその連携に係る費用、見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備、Wi-Fi環境の整備、インカム、見守りセンサー等の情報を介護記録にシステム連動させる情報連携のネットワーク構築経費等に利用できます。

補助要件補助額・補助率
①取組計画により、職場環境の改善(内容検討中)を図り、職員へ還元する事が明記されている事
②既に導入されている機器、また本事業で導入する機器等と連携し、生産性向上に資する取組である事③プラットフォーム事業の相談窓口や都道府県が設置する介護生産性向上総合相談センターを活用する事
上限
1000万円
3/4
まとめ

介護テクノロジー導入支援事業(仮称)は、介護施設にとって、介護ロボットを導入するために国と都道府県が補助金を出す事業となっており、
高額な介護ロボットの導入はしたいが、購入費用を圧縮したい介護施設にとっては非常に良い制度となっています。

今回の記事はpart1ということで、大まかな概要をご説明させていただきました。次回の記事では具体的なメリットなどに注目して解説をしたいと思いますので、ぜひご覧下さい。

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