営業許可後にやらないといけない事とは?

介護タクシーについて解説

営業許可後にやらないといけない事とは?

介護タクシー事業を開業しよう!とやっとの想いで様々な申請書類を提出し、法令試験に合格して、許可を受けたのも束の間。

本当に忙しいのはここからです。

事業を始めるわけですから、個人事業主の方の場合だと全て自分で何もかもやらないといけません。

営業許可申請をする前に、どういったことが必要なのか、時間がどれくらいかかるのか、など把握しておかないと、準備もろくにできないまま、ただただ開業ということになりかねません。

今回は介護タクシーを開業するために、運輸局へ営業許可を申請し、許可を得た後、どういったことが必要かを行政書士が解説していきます。

今回のテーマは前後編の2回に分けて解説していきます。今回は前編となります。

結論:営業許可後、やらないといけないことがわかります

STEP1:自動車・不動産・保険の本契約

ポイント:事業車がないと営業できません!

許可が下りたら、営業車の納車を最優先に進めましょう。

許可後の準備は主に営業車に関連しており、営業車が揃わないと他の準備が進められません。

営業許可申請自体は、見積を提出すれば良いので、許可が降りるまでは、事業車両を用意しておく必要はありません

ですので、許可が下りてから車を本契約(購入・リース)することが経済的負担も少ないのでおすすめです。

したがって、許可が下りたらまず車を本契約して納車してもらいましょう。営業開始までの時間を短縮するためにも、営業車を手に入れることが重要です。

また、事業車の契約と同時に車両の任意保険も本契約する必要があります。

また、営業所車庫も本契約をしましょう。
賃貸の場合は、営業所と車庫は申請時点で契約済になっているはずですが、購入のする場合は見積の状態なので、事業車と同様に本契約をしなくてはなりません。

STEP2:社名やロゴの車外表示

1,事業用の氏名、名称及び記号
2,「福祉輸送車両」及び「限定」の文字
3,1,及び2,の文字は、大きさ縦横50ミリメートル以上の横書きとし、ステッカー、マグネットシール、又はペンキ等により、事業用自動車の側面両側に外部より見やすいように表示する。

国土交通省通達 国自旅第169号より抜粋

具体的にはどういったものを入れる必要があるのでしょうか?

事業車に表示しなければならないのは?

・事業用の氏名、名称及び記号
→個人事業なら氏名(屋号でもOK)、会社の場合は会社名
→ロゴマークもOK

・「福祉輸送車両」及び「限定」の文字
→一般のタクシーではないことを表示する必要があります

介護タクシーに車いすマーク(国際シンボルマーク)は必須では有りません。

ポイント:大きさなどに決まりがある

5cm以上のサイズで、横書きの表示が必要です。側面の両側に配置し、ステッカーや塗装、マグネットなどで簡単に消えないように取り付けてください。

STEP3:事業用自動車に変更

介護タクシーの場合、車に人や荷物を載せて運び、その対価として料金を受け取る営業活動を行うため、緑ナンバーまたは黒ナンバーが必要です。

特に軽自動車で介護タクシーを営む場合は、黒ナンバーが割り当てられます。

事業用名義の車検証を持って自動車を登録すると、ナンバープレートが緑または黒に付け替えられます。

事業用自動車に変更し、緑ナンバーに付け替える手続きは以下のようになります。

必要書類一覧※個人の場合

  1. 営業許可が下りた後、運輸局で事業用自動車に関する書類を入手します。
  2. 運輸支局に行き、「事業用自動車等連絡書」を輸送部門に提出し、ハンコをもらいます。
  3. ハンコを受け取ったら、車検証の写しと共に「事業用自動車等連絡書」と「手数料納付書」を登録部門に提出します。
  4. 検査登録を行います。これは通常の車検手続きとなりますが、車検証が事業者名義に変わります。
  5. 登録され、ナンバープレートが緑ナンバーに付け替えられます。
  6. ナンバープレートの封印を行います。運輸支局で封印を行い、ナンバープレートに封印を取り付けます。この封印は二度と取り外すことができず、不正に取り外すと罰金が課せられます。

以上が、事業用自動車の登録および緑ナンバーへの付け替えの手続きになります。

STEP4:タクシーメーター取付・点検

ポイント:完全時間制の場合には不要です

距離時間併用性の場合のみタクシーメーターは必要になってきます。

その場合、営業許可申請と同時に運賃認可申請を提出しているするこはずですが、これにより、営業許可と同時に運賃も認可されます。

認可された運賃の設定はディーラーまたはメーター代理店に持参し、タクシーメーターの取り付けと運賃の設定を行ってもらえます。

ポイント:取り付け後は検定が必要

タクシーメーターは超精密計量器具のため、運輸開始前の初回はもちろん、以後1年に1回以上の検定が必要です。

福岡では、「福岡県計量検定所」で検定を受けます。

検定は計量検定所で行い、検定に合格すると有効期限のステッカーが貼られます。検定の有効期限は1年ですので、期限を過ぎないように再検定の予定を立てましょう。

福岡県計量検定所
〒811-2302
糟屋郡粕屋町大字大隈188番地2
指導課
TEL:092-939-1543

STEP5:運転手の健康診断

運転業務を開始する前に、ドライバーは健康状態を確認するために健康診断を受ける必要があります。これは、自身が始める場合だけでなく、新たなドライバーを雇う際にも必要です。

運転手の健康状態は、事故のリスクと密接に関連しています。そのため、雇用直後にはもちろん、その後も定期的に健康診断を実施し、運転手の健康状態を管理することが重要です。

健康診断は、運輸開始前でなくても構いませんが、運輸開始から3ヶ月以内に受けるように調整することが推奨されます。

STEP6:運転者適性診断

ポイント:適性診断を受けた後の人でなければ、運転者に選任することができません。

旅客自動車運送事業者は、以下の運転者に対して、事業用自動車の運行の安全を確保するために、国土交通大臣が認定する適性診断を受けさせなければなりません。

  • 死者又は負傷者が生じた事故を引き起こした者
  • 新たに雇い入れた運転者
  • 65歳以上の高齢者
診断名対象目的カウンセラーの行動
初任診断新採用の運転者プロドライバーとしての自覚促進、事故の未然防止のための留意点の指導助言や指導
特定診断1過去に死亡または重傷事故を起こした者や軽傷事故を起こし、直近3年以内に事故を起こした者事故再発防止のための運転行動の指導交通事故の状況に関する聞き取り、運転経歴の参考、助言や指導
特定診断2過去に死亡または重傷事故を起こし、直近1年以内に事故を起こした者事故再発防止のための運転行動の指導運転性向や運転特性の明らかにし、再発防止のための運転行動の助言や指導
適齢診断65歳以上の運転者加齢による身体機能の変化が運転行動に与える影響の認識、適切な運転行動の指導加齢による影響の認識、適切な運転行動に関する助言や指導

STEP7:アルコール検知器の準備

現在、アルコール検知器でのチェックが義務化されています。

  • アルコール検知器を常時使用できるようにする。
  • 運転前後にアルコール検知器でチェックし、結果を記録する。
  • 記録には、運転者名、酒気帯びの有無、確認日時、確認方法、確認者名、使用した車の登録番号などが含まれ、1年間保存する必要があります。。

STEP8:運輸開始届出提出

ポイント:先述の手続き全て完了した後に提出する書類

運輸開始届は、許可が下りた後に事後報告する書類です。

許可が下りたら、先述の通り車や保険の本契約、事業用車検、緑ナンバーへの変更、メーターの取り付けなど多くの手続きをする必要があります。

これらの手続きを全て完了し、「運輸開始しました」と運輸局に1ヶ月以内に報告しなければなりません。

運輸開始届はあくまで「届出」であり、許可が取り消されることはありませんが、提出書類の量はかなり多いです。

届出に必要な書類

 1.運輸開始届
 2.全車両の任意保険加入証明書(写)及び自動車検査証(写)
 3.就業規則(写)
 4.労働保険の保険関係成立届(写)
 5.社会保険の厚生年金保険新規適用届(写)
 6.写真
 →いずれも日付入りのもの。
 ・ 看板
 ・ 事務所内部
 ・ 運送約款・運賃表の掲示
 ・ 休憩仮眠室
 ・ 車庫全体
 ・ 車両の前面・側面・後面、車庫に収容しているところ
 ・ 車庫前面道路
 ・ タクシーメーター器(要封印)
 7.運行管理者及び整備管理者選任届(写)
 →該当する場合のみ
 8.運転者全員の適正診断書(写)
 →事業用自動車等連絡書提出時に既に提出している場合は不要

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